雇用調整助成金を利用する際には、労働局の定めた基準で作成した出勤簿と給与明細が必要になります。
新型コロナウィルスの影響もあり出勤簿や給与明細についてはそれほど厳格なものが要求されないと予想していますが、ポイントを抑えた作り方をしていないと却下される可能性も。
手書きの出勤簿と最新のツールを導入して作成した出勤簿で審査状況が変わるのか?少しでも早く入金してもらうためにもポイントを抑えた書類を準備して下さい。
雇用調整助成金の支給スピードを早めるためのポイント
新型コロナウィルスの影響で、多くの経営者さまが少しでもキャッシュフローを潤沢にしたい、手元に多くの資金をおいておきたいと考えていると思います。
そこでニュース等でも雇用調整助成金を使って休業手当を支給するのがおすすめという情報を目にする機会が多いと思いますが、
雇用調整助成金の入金スピード
雇用調整助成金は早くとも2〜3ヶ月ほどかかると言われており、それでも助成金の中ではスピーディーに支給されるものです。
これまでに助成金を活用したことがない企業さまの場合、それでは遅いと感じるかもしれませんが、政府もこれまでにない規模の申請をスピード処理するように仕組みを考えているので理解するしかありません。
入金を少しでも早くしたいと考えているのなら、申請書類を労働局の求める基準で作成し、審査時間を少しでも短縮することが重要です。
この記事では出勤簿と給与明細をどう作るべきか?
審査時間を少しでも短縮し、より効率的に雇用調整助成金を活用できるのかというポイントに絞って紹介します。
雇用調整助成金の申請に必要な出勤簿の作り方のポイントは?
雇用調整助成金の申請を考えていなかった中小企業さまの中には、手書きで出勤簿を作成し、なんとなくな感じで給与を支払ってきたという会社さまも多いかもしれません。
まず労働局の審査基準として、
労働局の審査ポイント
手書きのものは計算ミスや抜け漏れがあるのでは?と審査は厳し目な印象があります。
これはこれまでに弊社が様々な助成金申請を行った際の労働局のご担当者さまとのやり取りの中で感じたことなので、公式にそう発表されいるわけではありませんので、そこは誤解しないでください。
もちろん手書きの出勤簿、出社は○お休みは☓のような○☓出勤簿でも助成金申請を行うことはできますし、それで申請が許可されることもあるでしょう。
ただ今回の記事でお伝えしたいのは、どれだけスピーディーに助成金の入金まで進めるか?という部分に重点を置いて解説していますので、弊社としては何かしらの有料ツールを導入することをおすすめします。
ツール導入が難しい会社さまの場合は、無料配布されているエクセルのテンプレートでも良いのでデータ化して出力できる方法を選ぶことをおすすめいたします。
雇用調整助成金の申請に必要な出勤簿の項目は?
雇用調整助成金の申請を少しでも効率的に行いたいのなら、出勤簿には下記項目の記載があるかご確認ください。
出勤簿に必要な項目
- 出勤時間
- 退勤時間
- 実働時間
- 残業時間
- 深夜時間
- 休日時間
- 備考
という7項目です。
備考にはどのような理由で休ませたのか、今回で言えば新型コロナウィルス関連での休業であることを明確にするために活用します。
具体的なイメージとしては、
非常にシンプルなものですが、雇用調整助成金の審査を早く終えるためにはこのレベルの出勤簿があると安心です。
今お使いの出勤簿にこれらの項目がない場合は、この機会に作成されるのはいかがでしょうか。
残業時間・深夜時間・休日時間が出勤簿に必要な理由は?
労働局が求める基準の出勤簿を作成して欲しいと言われても、今のままでも十分だしなぜそこまでしないとダメなのか?
紙ベースの出勤簿でも従業員の勤怠管理はしっかりできていたので全く問題がいないし、そこまで手間をかけるのが面倒だと感じる方もいらっしゃるでしょう。
しかし残業時間・深夜時間・休日時間がない出勤簿は助成金申請時には絶対に避けるべき理由があります。
助成金申請時のポイント
残業代等の未払いがあると助成金を申請しても認めてもらえず、助成金の支給対象外と判断されるから。
労働局がもしかして残業代を払っていないのではないか?
という疑問を抱かないためにも、残業時間・深夜時間・休日時間を明確にしてしっかりとした出勤簿を作成していることを書面でアピールするのが効果的。
それがスムーズかつ効率的に雇用調整助成金の申請&支給してもらうための大切なポイントです。
出勤簿に残業時間・深夜時間・休日時間という項目がないもの、備考欄でどのような理由で休業になっているのか判断できないものは絶対に避けて下さい。
上記のような理由もあり、弊社で雇用調整助成金の申請サポートを行わせていただく企業さまには、デジタル形式の出勤簿の提出をお願いしております。
雇用調整助成金の申請に必要な給与明細の作り方のポイントは?
給与明細に関しては出勤簿さえしっかり出来ていれば、それを反映させるだけなので、難しいポイントはありません。
給与明細のポイント
休業手当の支給を分かりやすくするために、欠勤控除と休業手当支給を分けて記載してください。
まずは必要な項目をしっかりと押さえた出勤簿を準備し、その内容を反映させた給与明細を作成すれば問題ありません。
この記事でお伝えしたいのは助成金審査をどれだけスムーズに行えるのか?にありますので、給与明細を作る際のチェックポイントもお伝えしておきます。
助成金申請時に意識すべき給与明細のチェックポイントは?
一般的なチェック項目
出勤簿に記載のある、残業時間、深夜時間、休日時間の割増が給与明細に反映されているか?は間違いなくチェックされるポイントです。
雇用調整助成金では休業手当の支払いが助成金の対象になるので、いくらの休業手当を支払っているかが給与明細に反映されていると、審査スピードは間違いなく上がるでしょう。
具体的な方法として、
1、 休業日の賃金は1日欠勤したことにして欠勤控除を行ってください。(有給休暇を使わずに、欠勤したときと同じ金額を控除)*時給者及び日給者の1日休業は不要です。
2、その欠勤控除に対していくらの休業手当を払ったのか?を別の手当の項目で記載してください。
給与明細で意識すべきポイントはこの2つのステップです。
上記の2つを分けて記載することで、給与計算を適切な方法で行っているという印象を与えることができ、審査スピードのアップには有効だと思われます。
出勤簿・給与明細の作り方のポイントのまとめ
雇用調整助成金は申請後すぐに入金されるものではなく、審査からも入金まで2〜3ヶ月ほどかかる助成金。
その間に先に従業員に休業手当を会社負担で支給し、その後、国が休業手当の一部を負担するという流れで進みます。
審査時に調査が厳しく行われたり、補正等の手続きが発生すると手元に入金されるまでの時間が長くなり、経営者側にはデメリットしかありません。
それを防ぐためにも、
効率的に進めるポイント
必要項目を押さえた出勤簿を使い、適切な給与計算を行う。
- 出勤簿に残業時間・深夜時間・休日時間・備考を追加する
- 出勤簿を反映させた給与明細を作成する
- 社労士事務所がチェックして書類の不備をなくす
上記ポイントを意識した出勤簿・給与明細を作成して申請することで、労働局側の審査がスムーズに進むことが重要でしょう。
出勤簿・給与明細さえしっかりできれば、新型コロナウィルスの影響で雇用調整助成金の要件はかなり緩和されているのでそこまで支給申請が却下されるということはないと思います。
出勤簿や給与明細は実働がわかる企業側でしか作成できない書類ですので、今回お伝えしたポイントを意識して作成するようにして下さい。
その他の新型コロナウイルス関連の助成金情報
新型コロナウィルス関連の助成金情報
上記の記事を参考にしていただくと、新型コロナ関連の助成金についてより理解が深まると思います。